遊泳

猫、或いはサイエンス

九十九

物には命が宿っていると子供の頃から信じていた。

彼等は喋ること動くことができないだけで、感情に近いシステムが組み込まれているのではないか、と。
その証拠に大切に扱えばたいてい長い間そばにいてくれたし、心からそれを求めれば自分の元へとやってきてくれると感じていた。

いつかTwitterで、幼い頃大好きだったのにいつの間にかなくしてしまった絵本に、大人になってから古本屋さんで再び巡り会ったというツイートを見かけた。
自分の落書きがそのまま残されていたのですぐにそれと気づいたという。
優しい奇蹟。

いつか私の愛する物たちが私よりももっとあなたたちを愛するひとに出逢えたなら、その時は私の元から旅立ってゆくのだろうか。
どうか幸せでいてほしい。