遊泳

猫、或いはサイエンス

灯夜

真夜中のタイムラインを追っていると、私が意識を手放している間にもこの世界が確かに動いていたことを実感する。
そこに表記された言葉たちの数々が、本当は無意識の間に「もう何人かの私」が造り上げた世界ではないと、誰も証明することなどできはしないのだけれど。
毎夜分断され生まれ変わる自意識をうまく繋ぎ止めていてほしい。
いちど得たものを二度と失いたくは、ない。

花火が特別好きというわけではないけれど、花火セットについている、あの細くてすぐに折れてしまいそうな、脆弱な機能しかもたない蝋燭が好きです。
勢いよく噴き出す手持ち花火が起こす風圧にすら勝てないあのいとおしさ。
消えてしまいそうになる小さな炎を掌で包み込んで守りながら次々と咲いては消えゆく花火を見送る夏。
何故かいつもおしまいまで残ってしまう線香花火の種がそっと地面に触れたなら、蝋燭の火もふっと吹き消され、後には闇夜と静けさだけ。
橙色の残像を夢の中まで連れて帰るのです。