遊泳

猫、或いはサイエンス

清澄な水を湛えて

15時過ぎから『3月のライオン』を読み返し始めて六時間ほどかけて読み終えました。
感情と体力が清々しいほどに枯渇します。

「逃げなかったという記憶が欲しい」
作中何度も出てくるフレーズです。
生きていく上で醜さや弱さや恥ずかしさがあったとしても、常にそれらと真摯に向き合って解決に向かう姿というのは本当に心うたれます。
自分で自分に向き合うこと。そして他者のそれらにも気づくことができるようになること。


桐山くんが宗谷名人と指した1局のあとに島田さんに云われた
「楽しかったろ?宗谷との対局。また会いたくなるだろ、盤の前で」
澄んだ水が流れ込み、満ちてゆくそのイメージはあまりにも美しく、焦がれます。
私はどんな水を、どんな河に満たすことができるだろうか。


人生に停滞を感じることは多々あるけれど、自分ができることをひとつひとつ積み重ねてゆくしかない。
そうやってここまで何とかくることができた事、思い出させてくれました。

世界には器用なひとも賢いひとも運に恵まれたひともたくさん溢れているけれど、そしてそれらを目指すことを否定しなくてもよいのだけれど、私は私にしかできないようなことを少しずつでも満たしながら生きてゆくこと。
他者にも自分にも誠実であること。
人生に言い訳をしないこと。
身につけていきましょう。
澄んだ水を湛えたい。

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今日の夕暮れも甘い予感がして、2階まで駆け上がりました。
猫たちを交互に抱き上げて見せてあげた夕焼け。
どんな景色が見えただろうか。